まるで夢の中にいるような街、ポルトガル・シントラの遺跡を歩く

リスボンの駅から電車に揺られて約40分。少し眠たい朝の光のなか、ゆっくりと坂を登ってたどり着いたその街は、想像よりもずっと静かで、緑が深く、そして不思議なほど懐かしい匂いがしました。

ポルトガル・シントラ。カラフルな宮殿と中世の城跡、そして霧に包まれる森のなかで、私は「時間って何だろう」とふと考えていました。

今回は、ヨーロッパ15カ国をめぐる旅の中でも、とびきり印象に残っているこの“遺跡の街”について書いてみたいと思います。


シントラってどんな街?〜歴史と雰囲気〜

シントラはポルトガルの首都リスボンから日帰りで訪れられる、緑豊かな丘陵地に広がる歴史的な街です。19世紀にはポルトガル王室の夏の離宮が建てられ、今ではユネスコ世界遺産にも登録されています。

街全体がまるで映画のセットのようで、訪れた人々に強烈な印象を残します。霧がかった山々と、カラフルな建築物。幻想的で、どこか夢のような空間が広がっています。


リスボンからの行き方:朝の電車旅もまた楽しい

リスボンのRossio(ロシオ)駅から、シントラ行きのローカル列車に乗って約40分。料金も片道2ユーロほどで、気軽に訪れることができます。

電車を降りると、シントラの駅前には観光客向けのバスやタクシーが並びますが、徒歩でも十分に楽しめます。私はバスでペーナ宮殿まで行き、そこからは徒歩でゆっくりと街を下りながら、遺跡や宮殿をめぐりました。


絶対に見ておきたい3つの見どころ

シントラ国立宮殿(Palácio Nacional de Sintra)

シントラ旧市街の中心に位置するこの宮殿は、白壁に円錐形の2本の煙突がそびえる独特の外観で知られています。かつてポルトガル王族が実際に居住していた最も古い宮殿のひとつで、イスラムとヨーロッパの装飾が融合した内部も見どころ。

特に「白鳥の間」や「カササギの間」といったユニークな装飾天井が印象的で、王族の生活に触れられる歴史的価値の高いスポットです。

特徴的な煙突を内側から見るとこのようになっています。

庭園から綺麗な街並みを眺めることができました

レガレイラ宮殿(Quinta da Regaleira)

秘密結社との関わりがあったとされる、神秘的で象徴性に満ちた庭園と建物。

なかでも“イニシエーション・ウェル(Initiation Well)”と呼ばれる井戸のような地下階段は、スパイラル状に地下へと降りていく不思議な空間で、多くの旅人を魅了しています。

庭園全体が迷路のようになっており、探検するような楽しさもあります。

ペーナ宮殿(Palácio da Pena)

シントラの象徴とも言える、カラフルでファンタジックな宮殿。赤、黄色、青の外壁が青空と緑に映え、まるでおとぎ話の中に迷い込んだかのような気持ちになります。

内部も見学可能で、王族の暮らしぶりがうかがえる家具や調度品が展示されています。特に、テラスから見下ろすシントラの街並みと森の景色は圧巻です。

ムーアの城跡(Castelo dos Mouros)

ペーナ宮殿のすぐ近くにある、9世紀のムーア人によって築かれた山城の跡地。長く続く石造りの城壁はまるで万里の長城のようで、視界を遮るものが何もない絶景が広がります。

風の音と鳥のさえずりだけが響く、静けさの中で歩くこの遺跡の道は、旅のなかでも忘れがたい体験でした。


街歩きの楽しみ方:遺跡だけじゃないシントラの魅力

シントラの旧市街も、散策するにはとても楽しいエリアです。石畳の坂道、花の咲くバルコニー、小さなカフェやお土産屋さんが軒を連ねています。

私が立ち寄ったカフェでは、自家製レモネードとパステル・デ・ナタ(エッグタルト)をいただきました。甘さ控えめのタルトと、レモンの香りが爽やかなドリンクは、歩き疲れた体に染みわたりました。

お土産屋さんでは、手作りのコルク製品や陶器、レガレイラ宮殿をモチーフにしたノートやポストカードなど、シントラらしいアイテムがたくさん。

特に気に入って購入したのは、小さな手作りのノート。表紙には緑の森と霧を描いた水彩画が施されていて、まさにこの街の記憶そのものでした。

シントラで出会った、甘くて深いチェリーのお酒「ジンジーニャ」

街を歩いていると、小さなスタンドの前に人だかりができていました。近づいてみると、カウンターに並んでいるのはショットグラスと、赤く透き通るような液体。「Ginja(ジンジャ)」と書かれたその瓶が、この街でも親しまれているポルトガルのチェリーのお酒「ジンジーニャ」でした。

ジンジーニャは、さくらんぼを漬け込んだ甘めのリキュールで、アルコール度数は高めですが、口当たりはとてもやさしい。グラスの底には漬け込まれたチェリーがひと粒沈んでいて、それを最後に食べるのが“通”の楽しみ方だとか。

陽の傾きかけた午後に、石畳の路地で一杯だけ飲んだジンジーニャの味は、旅の中でもとくに印象深く、今でもあの香りを思い出すと胸の奥がふっと温かくなります。


旅の終わりに:記憶に残った、静かな感情

シントラ国立宮殿もレガレイラ宮殿も素晴らしかったけれど、帰りの電車でふと頭に浮かんだのは、 駅へ向かう散歩道で振り返ったところに見える静かな風景でした。

あの瞬間だけ、時間が止まったような気がしました。だからこそ、シントラは今でも「また行きたい」と思う街のひとつです。ントラは今でも「また行きたい」と思う街のひとつです。

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